大腸菌の毒素CNF1は、ラミニンに似た形で受容体BCAMに結合する
毒素の全長・受容体との複合体・ラミニン511との複合体を解き、毒素由来のT細胞エンゲージャーを作った
Proteins & Nucleic Acids
- BCAM(受容体)Basal cell adhesion molecule
- CNF1(毒素)Cytotoxic necrotizing factor 1
- 疑問・課題
- CNF1 毒素が受容体 BCAM に結合する仕組みと、BCAM のラミニン 511 との関係は十分に分かっていなかった。
- アプローチ
- 全長 CNF1、CNF1–BCAM、ラミニン 511E8–BCAM の構造をクライオ電顕で解き、結合親和性や競合も測った。
- 結果
- CNF1 の D5 ドメインは BCAM の V2 ドメインに、ラミニンと同様の平行β シートで結合し、Kd は約 3 nM と強かった。
- わかったこと
- CNF1 はラミニン 511 を細胞表面から押しのけられる。この高親和性の結合を使ったT細胞エンゲージャーは、がん細胞を殺した。
- 残された課題
- 実際の感染での毒素と宿主タンパク質の濃度は確定が難しく、置換の規模は予測できない。
Highlights
全長 CNF1 では触媒ドメイン D5 の入口が溶媒に露出していたが、全長の脱アミド化活性は D5 単独より弱かった。著者は D2 と D5 の相互作用が D5 の動きを制限する可能性を挙げている。
“It’s possible that the D5-D2, D5-D4 interaction in full-length CNF1 limits certain conformation changes required for full catalytic activity.”Results
CNF1 の D5 のβ26(770–776)が BCAM V2 のβ17 と平行β シートを作る。ラミニン α5 の LG1 も同様にβ17 と結合し、毒素はラミニンの結合様式をまねている。β26 を丸ごとアラニンにした M7 変異では結合がほぼ消えた。
“At site1, β10 in LG1 forms a parallel beta sheet with β17 in BCAM V2, analogous to CNF1 D5-BCAM V2 interaction (Fig. 4C and Fig. 3A).”Results
CNF1 の D5 に抗 CD3 の scFv をつないだT細胞エンゲージャーは、BCAM が多い卵巣がん細胞を低 pM で殺し、マウスのモデルでは腫瘍の進行を抑えた。親和性を下げた Y772A 型は効きが弱く、親和性で効力を調節できる可能性がある。
“scFvCD3-D5C866S functioned effectively as a TCE and induced potent tumor lysis by T cells at low pM concentrations.”Results
Lab Notes
- 発現系
- CNF1 は大腸菌 Rosetta (DE3)、BCAM は Hi-5 昆虫細胞、ラミニン 511E8 は 293 F 細胞で発現。
- コンストラクト
- 全長 CNF1 は N 末端に MBP タグを付けて解析。BCAM は V1–C3 の細胞外領域、ラミニンは E8 断片。
- 精製
- MBP カラムと陰イオン交換、BCAM は Ni-NTA とゲルろ過。
- 結晶化/グリッド作製
- Quantifoil R1.2/1.3 に 3 μL をのせ、20 °C・湿度100%で Vitrobot 凍結。結晶は D5–BCAM V1-C1 を約 8 mg/mL でハンギングドロップ。
- データ収集・解析
- Titan Krios(300 kV)と Falcon4 で収集し、cryoSPARC で処理。
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