B0AT1阻害剤は、輸送体を外向きの閉じた状態に固定する
クライオ電顕で設計した阻害剤が、PKUモデルマウスの血中Pheを下げた
Proteins & Nucleic Acids
- B0AT1(アミノ酸輸送体)Sodium-dependent neutral amino acid transporter B(0)AT1
- ACE2(相手タンパク質)Angiotensin-converting enzyme 2
Ligands
- 化合物3
A1L6W(~{E})-~{N}-[2-oxidanylidene-2-(3-oxidanylidenepiperazin-1-yl)ethyl]-3-[4-(trifluoromethyl)phenyl]prop-2-enamide
- 疑問・課題
- フェニルケトン尿症(PKU)では血中のPheが高くなる。B0AT1の阻害で下げられるが、アロステリック阻害剤の効き方と最適化の構造的な根拠は不十分だった。
- アプローチ
- B0AT1の外向き・内向きのクライオ電顕構造と、阻害剤3種との複合体を解き、構造をもとに化合物を改良した。最適化した化合物はPKUモデルマウスに経口投与した。
- 結果
- 化合物3は、ヒトB0AT1に対してIC50 513 nM、マウスに対して295 nMだった。投与4時間後、尿中のPhe排泄が増え、血漿のPheが下がった。
- わかったこと
- 阻害剤は外向き開口型にだけ現れる、基質部位から約17 Å離れたポケットに結合し、輸送体を外向き閉塞型に固定して輸送を止めると考えられる。
- 残された課題
- マウスでPheが下がったのが腸での吸収と腎での再吸収のどちらによるのかは、この実験では区別できない。
Highlights
シンロミド(化合物1)はヒトB0AT1を阻害したがマウスにはほとんど効かず、動物試験ができなかった。ベンゼン環にCF₃基を加えるなどした化合物2を経て、ピペラジノン基を足した化合物3は、ヒトとマウスの両方にサブマイクロモルで効いた。
“To this end, we replaced the dimethylamino group of compound 2 with a piperazinone moiety.”Results
阻害剤は細胞外側のアロステリック部位に結合する。化合物1はLeu52を基質部位側に倒し、水分子を介した相互作用を作った。化合物2と3はTrp56の主鎖と水素結合し、Leu52はapoに近い向きに戻った。
“As a result, the Leu52 side chain reverted to its apo-like conformation, occluding the canonical substrate-binding site”Results
化合物3はPheの取り込みに対して競合阻害を示したが、結合部位は基質部位とは別の場所にある。Na⁺が多い条件で結合量が増え、Na⁺が外向き構造を安定化して阻害剤を結合しやすくしていると著者は考えている。
“Compound 3 increased the Km for d5-Phe without affecting Vmax, indicating competitive inhibition”Results
Lab Notes
- 発現系
- 野生型は FreeStyle 293-F 細胞で B0AT1 と ACE2 を一過性に共発現した。
- コンストラクト
- 野生型は不安定なため ACE2 と共発現し、内向き構造用には安定化変異体(sB0AT1)と Fab#54 を使った。
- 精製
- FLAG と Strep のアフィニティー精製後、Superose 6 のゲルろ過で精製した。
- 結晶化/グリッド作製
- 精製した B0AT1-ACE2 を化合物(0.5 mM)と氷上で1時間混ぜてグリッドを作った。
- データ収集・解析
- Titan Krios G3i(300 kV、K3 検出器)で撮影し、対称性展開と局所分類で単量体の分解能を上げた。
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