ファージのDNA合成酵素は、複製の手前でウラシルを外す
UDGドメインを融合した2種の酵素をクライオ電顕で解析。DNAを締める2つの挿入部も見えた
Proteins & Nucleic Acids
- DNA合成酵素(phiLo)Putative DNA-directed DNA polymerase I
- 鋳型DNADNA template
- プライマーDNADNA primer
Ligands
- ddCTP
DCT2',3'-Dideoxycytidine 5'-Triphosphate
- 疑問・課題
- ウラシルを外す酵素(UDG)を自らに融合したファージのDNA合成酵素が、複製とウラシルの除去をどう両立するかを調べた。
- アプローチ
- YerA41とphiLoという2つのファージの酵素を、DNAとの複合体でクライオ電顕により解析し、活性も測った。
- 結果
- DNAを挟む2つの大きな挿入部が約30 Å離れて並んでいた。dUを含む鋳型の5′端は、UDGドメインの活性部位の近くに届いていた。
- わかったこと
- UDGドメインが複製部位の手前でdUを外し、できた脱塩基部位をdAを入れて通り越すことを示した。
- 残された課題
- 糖で修飾されたYerA41のDNAを基質にした実験が、まだ必要だとされている。
Highlights
dUを含む鋳型との複合体(3.6 Å)では、鋳型の5′端がUDGドメインの活性部位の入口に届き、dUの塩基が外に出て活性部位の近くに置かれた。ただし、占有率が一部のモデルである。
“allowing the modeling of partially occupied dU base flipped into the active site of the UDG domain”Results
2つの挿入部がDNAを両側から挟み、複製中の酵素をDNAに固定する。位置はT7のチオレドキシンに似ており、複製の処理能力を高める可能性がある。
“Their combined role is clearly to tighten the grip on the DNA”Results
dUは外されたが、5位にC6アミノ基をもつチミジンは外されなかった。この修飾チミジンは複製中に許容され、複製もされた。ファージ自身の修飾DNAは、UDGの基質にならないとみられる。
“SP15-like DNAPs efficiently replicated the modified base, as demonstrated by the full-length primer extension products”Results
Lab Notes
- 発現系
- 大腸菌BL21 Star (DE3)で発現した。IPTGで誘導し、YerA41は15℃、phiLoは20℃で一晩培養した。
- コンストラクト
- N末端に14個のHisタグとTEV切断部位をつけた。構造解析にはエキソヌクレアーゼ活性を欠く変異体(Exo−)を使った。
- 精製
- HisTrapで精製した後、HiTrap Heparinカラムにかけ、1 M NaClで溶出した。
- 結晶化/グリッド作製
- YerA41のExo−酵素とDNA二本鎖を1:2で混ぜ、ゲルろ過で精製した。取り込まれるヌクレオチドを4℃で5分加えてグリッドにした。
- データ収集・解析
- Glacios(200 kV)で撮影し、CryoSPARCで処理した。YerA41はTitan Krios G4の追加データも使った。