ClpPを遠くから止める、新しい阻害剤
活性部位から約30 Å離れたポケットに結合し、触媒残基の並びをずらして不活性にする
Proteins & Nucleic Acids
- ClpP(プロテアーゼ)ATP-dependent Clp protease proteolytic subunit, mitochondrial
Ligands
- OICR18704
A1CRQ4-[4-({7-chloro-3-[(1S)-1-cyanoethyl]-4-oxo-3,4-dihydroquinazolin-2-yl}methyl)piperazin-1-yl]-2-(trifluoromethyl)benzonitrile
- 疑問・課題
- ClpPの阻害剤は、活性部位に結合すると逆に活性化する現象があり、開発が難しかった。
- アプローチ
- キナゾリノン系の阻害剤OICR18704と結合したヒトClpPの構造をクライオ電顕で決め、HDX-MSで動きも調べた。
- 結果
- 7つのポケットのうち阻害剤が入るのは2つだけで、触媒のHis178を置く取っ手のβシートはどのサブユニットでも消えていた。
- わかったこと
- 結合部位は活性部位から約30 Å離れており、クラスターが壊れると触媒三残基がずれて活性を失う。
- 残された課題
- 生体内での効果がClpP阻害によるのか、PRKCIなどによるのかは今後の課題とされる。
Highlights
阻害剤は、活性化剤ドルダビプロン(ONC201)の結合ポケットと一部重なる場所に入る。キナゾリノン部分はドルダビプロンに似た結合をするが、トリフルオロメチルベンゾニトリル基が軸孔側へ伸びて疎水性クラスターをこじ開け、阻害に転じる。
“The disruption of this critical allosteric hotspot at the interface of adjacent ClpP subunits enables OICR18704 to act as an inhibitor rather than an activator.”Results
クラスターを壊すV62A変異体も、非対称なヘプタマー(7量体)で不活性になり、ドルダビプロンで活性が戻る。HDX-MSでも、取っ手ドメインが不安定になることが示された。
“Both the V62A substitution and OICR18704 binding stabilize the inactive heptameric state of ClpP and thereby abolish activity.”Results
活性部位に結合する阻害剤は、低濃度でClpPを活性化してしまう。この化合物群は別の部位を使い、白血病のマウスモデルで経口投与後に腫瘍量を減らした。
“In a xenograft mouse model of leukemia, our lead compound significantly reduced tumor burden following short-term oral administration.”Abstract
Lab Notes
- 発現系
- 大腸菌T7 Expressで発現。
- コンストラクト
- ミトコンドリア標的配列(1–56)を除いた野生型とV62A変異体。切断可能なHis6-SUMOタグ付き。
- 精製
- Niカラム、Ulp1でタグ切断、再度Niカラム、Superdex 200 Increaseでゲル濾過。
- 結晶化/グリッド作製
- ClpP 15 mg/mlに1 mMのOICR18704を加え、0.025%のIGEPAL CA-630を添加。Vitrobot Mark IV(4 °C、湿度100%)で凍結。
- データ収集・解析
- Titan Krios、K3検出器、SerialEMで収集。cryoSPARC v4で処理。
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