Cdr1は、ATPの加水分解後にCヘリックスをピストン状に引き込む
クライオ電顕と3D変動解析で、ポンプが開く動きとイトラコナゾールの収まり方を捉えた
Proteins & Nucleic Acids
- Cdr1(排出ポンプ)Pleiotropic ABC efflux transporter of multiple drugs CDR1
Ligands
- ATPAdenosine-5'-Triphosphate
- バナジン酸
VO4Vanadate Ion - ADPAdenosine-5'-Diphosphate
- エルゴステロール
ERGErgosterol
- 疑問・課題
- カンジダのアゾール耐性に関わる排出ポンプCdr1が、ATPの力でどう働くのか、構造の面は分かっていなかった。
- アプローチ
- C. glabrata Cdr1を、ATP-Mg²⁺・イトラコナゾール・バナジン酸の有無でクライオ電顕により解析し、3D変動解析も行った。
- 結果
- 加水分解したATPのγ-リン酸からCヘリックスが約4 Å後退し、TMH-1の動きなどで薬剤結合部位が開いた。
- わかったこと
- Cヘリックスの引き込みが、3D変動解析で最初に見える動きで、薬剤結合部位が開く動きにつながる。
- 残された課題
- このCヘリックスの機構がABCトランスポーター全体で共通かは、まだ推測の段階だ。
Highlights
ADP-バナジン酸結合型から開いた型へ移る間に、NBD-1のCヘリックス(H-8)が約4 Å、ピストンのように後ろへ動く。このときほかの変化は小さく、その後にNBD全体が約10°回る。順序は実際の反応経路ではない。
“While 3DVA analysis does not represent a true reaction coordinate”Results
イトラコナゾール1分子が、n字型に折れ曲がって薬剤結合部位に収まる。TMH-2の2巻きがほどけて場所ができ、全体の構造は大きく変わらない(RMSD 0.5 Å)。ただしリガンドの密度は周りより不鮮明だった。
“Densities for ITC were not as clear as nearby amino-acid residues”Results
触媒をしない側のヌクレオチド結合部位(ncNBS)には、開いた型にも閉じた型にもATPが結合していた。結合は強く(KD 0.3 µM)、輸送のサイクルを通じて結合し続けると考えられる。
“ATP bound the ncNBS with very high affinity (KD of 0.3 µM)”Results
Lab Notes
- 発現系
- 出芽酵母の膜タンパク質発現系でC. glabrata Cdr1を過剰発現した。
- コンストラクト
- C末端にHis6タグを付けたCgCdr1(UniProt Q6FK23)。
- 精製
- 界面活性剤PCCとDCOD9bで抽出し、Ni-NTAカラムとSuperose 6のゲルろ過で精製した。
- 結晶化/グリッド作製
- 5 mM ATP-Mg2+(イトラコナゾールは30 µM)を30分反応させ、1 mMオルトバナジン酸を加えてグリッドに載せた。
- データ収集・解析
- ATP・バナジン酸の試料はTitan Krios(300 kV、K3)で撮影し、cryoSPARC v4で処理した。3D変動解析は4 Åに低域通過して行った。
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