CLN8は、BMPの材料LPGを立体を選んでつくる酵素だ
クライオ電顕で活性部位を示し、Batten病の変異は酵素活性を弱めた
Proteins & Nucleic Acids
- CLN8(アシル転移酵素)Protein CLN8
Ligands
- DHA(C22:6)
HXADocosa-4,7,10,13,16,19-Hexaenoic Acid - CoA
COACoenzyme A
- 疑問・課題
- Batten病の原因タンパク質CLN8が、リソソームの脂質BMPの合成で何をするかは不明だった。
- アプローチ
- 精製CLN8の酵素反応と、アポ型およびアシルCoA存在下のクライオ電顕構造を調べた。
- 結果
- CLN8はS,S型のGPGに最もよくアシル基を移し、構造ではH138の隣にアシル鎖が見えた。
- わかったこと
- S,S型GPGからリゾホスファチジルグリセロール(LPG)をつくる立体特異的な酵素で、LPGはBMPの材料になる。
- 残された課題
- CLN8がつくったLPGが、リソソームの内腔へどう移るかは未解決だ。
Highlights
活性部位はE117・H138・H139・E167・R204からなる。H138にアシル基が一時的に結合する中間体を経るピンポン機構が考えられる。ただし共有結合の密度は見えておらず、著者は水に露出した活性部位のため中間体が不安定なのだろうと説明する。
“continuous covalent density between H138 and the acyl chain was not resolved”Results
二量体の界面近くの膜内ポケットに、予想外にCoAが結合していた。見えたのはCoA部分だけで、アシルCoAだった可能性がある。
“Although only the CoA moiety is resolved in the cryo-EM density, this species may represent acyl-CoA”Results
CLN8の産物であるS,S-LPGを補うと、CLN8欠損細胞とマウス肝臓でBMPが戻り、ゼブラフィッシュの神経症状も改善した。ただし成体マウスの脳では回復がごくわずかだった。
“recovery of 18:1–18:1 BMP in the brains of S,S-LPG-treated Cln8mnd/mnd mice was substantially poorer”Results
Lab Notes
- 発現系
- 構造解析用のヒトCLN8は酵母 W303.1B で発現(ガラクトース誘導)。
- コンストラクト
- コドン最適化したC末端Hisタグ付きのヒトCLN8。Factor Xaでタグを切断。
- 精製
- LMNGで膜を可溶化し、Ni-Sepharose、続いてサイズ排除クロマトグラフィー。
- 結晶化/グリッド作製
- 基質結合型はCLN8を100 µMのC18:1-CoAまたはC22:6-CoAと室温で1時間。Vitrobot Mark IV、4℃・湿度95%、ブロット3.0秒。
- データ収集・解析
- Titan Krios+Falcon 4i+Selectris Xフィルター。cryoSPARC v3.3.2で処理し、最終 2.69–3.65 Å。