ECT2LとDZANK1は、繊毛の根もとで微小管をつなぐ
気道細胞の中で構造を直接解析し、2遺伝子の変異は原発性線毛運動異常症の原因になる
Proteins & Nucleic Acids
- ECT2L(連結部の主成分)Epithelial cell-transforming sequence 2 oncogene-like
- SKP1(F-box結合)S-phase kinase-associated protein 1
- DYNLL1(ダイニン軽鎖)Dynein light chain 1, cytoplasmic
- DZANK1(連結部の橋渡し)Double zinc ribbon and ankyrin repeat-containing protein 1
- 疑問・課題
- 繊毛の根もとの関門である移行帯の分子構成と、運動性繊毛の病気との関係は、よく分かっていなかった。
- アプローチ
- ヒトの気道細胞を凍結して薄く削り、その場のクライオ電子線トモグラフィーとサブトモグラム平均で調べた。
- 結果
- 移行帯の二連微小管を6.9–7.3 Åで解き、9つのタンパク質を同定した。連結部の主役はECT2LとDZANK1だった。
- わかったこと
- ECT2LかDZANK1の機能喪失変異が原発性線毛運動異常症を起こし、移行帯の欠陥と運動性繊毛の病気が直接結びついた。
- 残された課題
- DZANK1のIg様ドメインとアンキリン反復の位置は、まだ定まっていない。
Highlights
培養したヒト気道細胞をFIB(集束イオンビーム)で厚さ約200 nmのラメラに削り、細胞の中でそのまま移行帯を撮影した。精製せずに、細胞の中の状態のまま構造を解いている。
“Focused ion beam (FIB) milling was performed on the periphery of the frozen ciliated cells, generating thin lamellae suitable for cryo-ET”Results
隣り合う微小管の連結部は、ECT2LとSKP1が2対2で組んだ複合体が並んだものと解釈された。DZANK1がその複合体どうしを橋渡しし、DYNLL1/2とともに隣のA管に取り付く。ただしDZANK1の小さなZn結合ドメインは、弱い密度のため明確には置けていない。
“These observations together indicate that TZ linkers are linear arrays of ECT2L–SKP1–DZANK1–DYNLL1/2 complexes”Results
ECT2LかDZANK1の機能喪失変異をもつ患者4人の細胞では、移行帯の連結部が失われ、繊毛の先がこぶ状に膨らんだ。ECT2Lを壊したiPS細胞由来の細胞でも同じこぶ状の先端が見られた。
“DMTs were irregularly spaced and often lacked discernible TZ linkers”Results
Lab Notes
- 発現系
- ヒト鼻上皮の初代培養細胞を気液界面(ALI)で分化させ、繊毛を形成させた(3〜4週間)。
- 結晶化/グリッド作製
- 細胞を単離して金グリッド(Quantifoil R3.5/1)に載せ、Vitrobot Mark IVで背面ブロット8秒・湿度100%で凍結。Aquilos 2のcryo-FIB/SEMでラメラを作製。
- データ収集・解析
- Titan Krios+Selectris+Falcon 4i、64,000倍、ピクセル2 Å。Warpでトモグラムを再構成し、RELION5でサブトモグラム平均。
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