Pit2から切り出されたペプチドが、カビのGPCRを活性化する
Pit2の結晶構造で、リガンドのペプチドは二量体の芯に隠れていた
Proteins & Nucleic Acids
- GB1(融合タグ)Immunoglobulin G-binding protein G
- Pit2(分泌エフェクター)Secreted effector PIT2
- 疑問・課題
- 菌類のGPCR(細胞外の信号を受け取る7回膜貫通型の受容体)は、リガンドも活性化の仕組みもよく分かっていない。
- アプローチ
- 黒穂病菌のGpe1を酵母に発現させて活性化を測り、Pit2の結晶構造とAlphaFold3のモデルで結合を調べた。
- 結果
- Pit2由来のWWFGFTGSLでGpe1が活性化した(EC50は80 nM)。このペプチドはPit2二量体の界面に埋まっていた。
- わかったこと
- Pit2はペプチドを二量体の中に隠し、宿主のプロテアーゼが切ると放出されてGpe1を活性化すると考えられる。
- 残された課題
- Pit2から生じる2種類のペプチドが、感染でそれぞれどう寄与するかは今後の課題だ。
Highlights
Pit2は5本のβストランドと1本のαヘリックスからなる、絡み合った二量体だった。活性化ペプチドWWFGFTGSLは二量体の界面に埋まり、宿主のプロテアーゼで切られるまでGpe1を活性化できないと考えられる。
“Pit2 is composed of five β-strands and one α-helix, forming a tightly intertwined homodimer.”Results
Gpe1とペプチドの複合体は実験構造ではなく、AlphaFold3のモデルだ。N末端のトリプトファンがTM1とECL2の空洞に入ると予測され、W37AとC178Aは受容体をほぼ無応答にし、菌の毒性も強く下げた。
“strains containing C178A and W37A a strong attenuation in virulence”Results
Gpe1に似た担子菌の受容体群で、TM3のR133とTM6のN246・N247が保存されていた。これらはロドプシン型GPCRのイオンロックを思わせ、R133Aなどの変異で活性が消えた。ただし受容体の安定性の低下による可能性も著者は残している。
“More disruptive substitutions, N246L + N247L and R133A, abolished detectable receptor activation.”Results
Lab Notes
- 発現系
- 大腸菌で発現(本文はSHuffle (DE3) とBL21 (DE3) の両方を記載)。
- コンストラクト
- シグナルペプチドを除いたPit2を、GB1タグ・6×His・TEV切断部位をもつpEM-GB1ベクターに組み込んだ。
- 精製
- Ni-NTAのあとTEVで切断し、逆アフィニティとSuperdex S200 Increase 16/600のサイズ排除クロマトグラフィー。
- 結晶化/グリッド作製
- ハンギングドロップ法、室温。20 mg/mLのGB1-Pit2を0.1 M Bicine pH 9、1.6 M硫酸アンモニウムで約2週間かけて結晶化。
- データ収集・解析
- ESRFで低温データを収集。XDS/XSCALEで処理し、既存の構造を探索モデルに分子置換(Phaser-MR)、Coot・Phenixで精密化。
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