RAS阻害剤への耐性は、薬が結ぶ複合体を壊す変異で起こる
患者検体の耐性変異を結晶構造と変異体で解析し、Y64変異にも効く化合物を示した
PDB 6VJJ(論文が使った既存の構造)
Proteins & Nucleic Acids
- KRAS(RAS GTPase)GTPase KRas
- RAF1(RBD)RAF proto-oncogene serine/threonine-protein kinase
Ligands
- GppNHp(GTP類似体)
GNPPhosphoaminophosphonic Acid-Guanylate Ester
- 疑問・課題
- RAS阻害剤ダラキソンラシブへの耐性が、どう生じるかは十分に分かっていなかった。
- アプローチ
- 患者40人の検体で耐性変異を探し、結晶構造と生化学・細胞の測定で仕組みを調べた。
- 結果
- KRAS Y64変異は薬との芳香環の積み重なりを壊し、Y71HはCRAFのRBDとの結合を強めた。
- わかったこと
- 耐性変異は、薬がRASとCYPAをつなぐ分子糊の働きを壊す点で共通していた。
- 残された課題
- Y71HがCYPA結合にも作用する可能性は、今回のデータでは除外できない。
Highlights
KRAS Y71HとCRAFのRBDの結晶構造で、H71がRBDのArg67と水素結合とπ-カチオン相互作用を作っていた。この余分な結合でRAFへの親和性が上がり、薬でRAFを追い出しにくくなると考えられる。
“Our structural data suggest that the additional interaction of Y71H is responsible for the higher affinity for the CRAFRBD”Results
別の阻害剤RMC-4791とKRAS・CYPAの複合体では、Y64の積み重なる相手が薬の尾部のピリジン環に変わっていた。この化合物はY64変異体でも効果を保った。
“Moreover, the Y64 residue formed a π-π stacking interaction with the pyridine ring at the tail end of RMC-4791”Results
キナーゼ活性のないBRAF変異も耐性を生んだ。RAFが二量体になるとCRDがKRASに結合しやすい向きになり、薬で外れにくくなるらしい。この部分はAlphaFoldのモデルと細胞の実験による。
“The live-cell data argue that RAF dimerization repositions the CRD of RAF in an orientation where it can optimally interact with KRAS, a conformation that is harder to displace by TCIs, thus leading to attenuated inhibition.”Results
Lab Notes
- 発現系
- KRAS(1–169)とCRAFのRBD(52–131)を大腸菌BL21(DE3)で発現。N末端にHisタグ。
- 精製
- Ni–NTAで精製し、TEVでタグを外してSuperdex 75でゲルろ過した。
- 結晶化/グリッド作製
- シッティングドロップ蒸気拡散法、18 ℃で結晶化。
- データ収集・解析
- NSLS-IIのFMXビームラインで回折データを収集し、6VJJを探索モデルに分子置換で解いた。
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